更年期の症状には運動がいい?
更年期になると心身の不調が現れ、悩まされる方も多いのではないでしょうか。症状の緩和にはもちろん、更年期以降に発症しやすい生活習慣病などの予防にも運動は効果的です。
身体の変化とともに運動の効果をみていきましょう。
更年期障害とは
「閉経」とは、卵巣の活動が次第に消失し、月経が永久に停止した状態をいいます。月経がない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。更年期の症状の主な原因は、閉経によりエストロゲンが大きくゆらぎながら低下していくことですが、加齢などの身体的な要因、自身の性格や周りの環境、人間関係など心理的な要因も発症に影響します。
主な症状
血管の拡張と放熱に関係する症状
・ほてり
・のぼせ
・ホットフラッシュ
・発汗
その他のさまざまな身体症状
・めまい
・動悸
・胸が締め付けられるような感じ
・頭痛、肩こり
・腰や背中の痛み、関節の痛み
・冷え、しびれ、疲れやすさ
精神症状
・気分の落ち込み
・意欲の低下
・イライラ
・情緒不安定
・不眠
女性の身体の変化
更年期に起こる女性の身体の変化の1つに卵巣組織の変化があります。
更年期は卵巣機能が減退していき消失するまでの時期となります。卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモンのエストロゲンが欠乏します。エストロゲンは子宮に大きく作用しますが、その他に悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールを低下させる役割も担っています。このエストロゲンが低下すると、血液中のLDLコレステロール濃度の上昇に伴い動脈硬化が促進され、結果的に心筋梗塞や脳梗塞に繋がります。
また、エストロゲンは骨量を維持する役割もあるので、エストロゲンの分泌量に伴い骨粗鬆症になる可能性も高くなります。破骨細胞(古くなった骨を壊す細胞)と骨芽細胞(新しい骨をつくる細胞)の骨代謝のバランスを取り丈夫な骨がつくられています。エストロゲンは破骨細胞を抑える働きがあり、閉経後にエストロゲンの分泌が減ってしまうことで、破骨細胞が活性化され骨芽細胞の働きが追いつかなくなり骨量の減少が起こってしまいます。
運動の適応
運動が更年期の症状を解決するとは一概に言えませんが、症状によって緩和される場合があります。気分の落ち込みなどの精神的な症状や不眠には適度な運動が有効的です。
エストロゲンの分泌が減少することにより、体脂肪を貯蓄する力と分解する力のバランスが崩れます。内臓脂肪が落ちにくくなり筋力も低下するので、基礎代謝量も低くなり痩せにくい身体になります。体重をコントロールするためにも有酸素運動が効果的です。
骨粗鬆症に関してはウォーキングなどの有酸素運動に加えて、筋肉から骨に直接刺激を与えるような負荷をかけて行うトレーニングも大切です。
運動をすることで症状の改善が期待できます。運動の他にも日々の食事も大切です。詳しくはこちらをご覧ください。
心身のバランスを保つためにもぜひ参考にしてみてください。
<参考資料>
・公益社団法人 日本産科婦人科学会
・エストロゲンと骨粗しょう症/加藤茂明(2009/9)
・更年期ラボ
(文/小山七海)