2024-10-28

マシン紹介 / MATRIXローアー

当施設のマシン入れ替えの際に新たに導入したこちら。

ローアー、ローイングマシン、エルゴメーターなど呼び名があり、かなり昔から存在しています。

フィットネス施設にはほぼ確実に設置されているランニングマシンやバイクよりは若干知名度が低いかもしれませんが、個人的にはかなり気に入っているマシンです。本日はこのローアーについてご紹介します。

MATRIX社ローアー

当施設が採用しているローアーはMATRIX社のもので、こちらはマグネット負荷システムを採用しています。マグネット負荷は永久磁石をアルミニウム製フライホイールに近づけたり遠ざけたりすることで負荷を調整するシステムで、他の負荷システムよりも静音性に優れているといわれています。

ただ、動作が静かなことだけがお気に入りの理由なわけではありません。ローアーは以下の理由からとても優秀なマシンだと私は思っています!

1.関節にやさしい

ランニングは地面を蹴って、返ってきた力を推進力にしています。そのため地面に接地するたびに体重の3-4倍の衝撃負荷が膝関節に伝わると言われていますが、2014年に行われた研究によると、ローアーは肘、肩、腰椎、そして膝へかかるねじれや回転の負荷が30%軽減されたという結果が報告されています。ですのでローアーは初期の変形性関節症の方にも推奨しやすいマシンとなっています。

2.全身運動ができる

ローアーは正しいフォームで行えば全身にまんべんなく負荷をかけられるエクササイズです。American Fitness Professionals Associationによると、ローアーの動作は65-75%が脚、25-35%が上半身の力が要求されるそうです。下半身はもちろんのこと、腕、胸部や体幹などランニングでは中々負荷をかけにくい上半身の筋肉も強化することが可能です。

3.転倒リスクが低い

ローアーは地面から近い高さで座って行うエクササイズです。そのため、転倒するリスクは限りなく低く、高齢者や視覚に問題がある方などにも比較的安心して利用頂けるマシンです。

4.効果的に心肺機能を高めることができる

上で述べたようにローアーは全身の筋肉を動員する運動でどんどん心拍数が上がってくるため、心肺機能を改善したい方におあつらえむきのマシンです。2015年のローアーとサイクリング(バイク)運動が心肺機能へもたらす効果を比較した研究では、ローアーの方が一回拍出量(心臓が一回拍動するごとに左心室から送り出される血液量:SV)と心拍出量(一分間に心臓から全身へと送り出される血液量:CO)が大幅に増加したそうです。一方で心拍数や血圧の変化には2者間で大きな差はなかったようです。そのため、ローアーはサイクリングよりも心筋の収縮を促進できる=心肺機能の向上により効果的な運動なのではないかと考えられます。

5・メタボリックシンドロームやサルコペニアの予防になる

体力要素はいろいろな種類がありますが、特に心肺持久力(cardiorespiratory fitness: CRF)は疾病発症との関連性が強いことが多くの研究で示されています。例えばCRFはメタボリックシンドロームの予測因子として知られており、CRFが高いほどメタボのリスクは低いと考えられています。そしてそのCRFは定期的にローアーでトレーニングをしている人は、そうでない人に比べて高い値、もしくは低下が緩やかであることが確認されています。

また、加齢に伴い筋肉量が減少することで身体機能の低下した状態をサルコペニアといいますが、筋肉に負荷がかかるローアーは筋肉量アップにも貢献することが分かっています。早稲田大学が行った研究では、ローアーを6ヶ月実施したグループは、何もしなかったグループ、そしてウォーキングを実施したグループよりも体幹部と脚の筋肉の断面積が増え、サイズもアップしたという結果が出ました。

以上のことから、ローアーは安全性も高く心肺機能や筋力を効率よく鍛えられるマシンだといえるのではないでしょうか。

日々のトレーニングの一環として、ランニングトレーニングの代替として…

ぜひ取り入れてみてください!

(文/坂内悠)

<参照>

MATRIX https://www.matrixfitness.com/jp/jpn

American Fitness Professionals Association. https://www.afpafitness.com/

Higuchi M, and Asaka M (2013). Effects of Rowing Exercise on Prevention of Metabolic Syndrome and Sarcopenia for Senior People. The Korean Journal of Obesity. 22(3).

Horn P, Ostadal P, and Ostadal B (2015). Rowing Increases Stroke Volume and Cardiac Output to a Greater Extent Than Cycling. Physiological Research. 64. 203-207.

Shin K Y, Choi E H, Lim J Y, Cho A R, and Lim Y H (2015). Effects of Indoor Rowing Exercise on the Body Composition and Scoliosis of Visually Impaired People: a Preliminary Study. Annals of Rehabilitation Medicine. 39(4). 592-598

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