運動するモチベーションが上がらない?
「運動をやらないといけないのはわかっているけど、重い腰が上がらない。」
「運動を頑張って始めてみたけど、なかなか続かない。」
「最初は運動を頑張れていたけど、だんだん運動をする頻度が減ってきた。」
なんとか頑張ろうと思ってやる気を出しても、なかなか続かないという方も多いのではないでしょうか。このように運動が続かないと、自分の意志が弱いから、自分に甘いなどと自身をなくす方も多いかもしれません。
運動を続けていくためにはどうしたら良いのか?やる気がないとか意志が弱いという簡単な言葉で済ませず、ちょっとだけ深掘りして考えてみましょう。
モチベーション(動機づけ)
この運動をするときのやる気というものはモチベーション(動機づけ)という言葉でよく表現されます。モチベーションとは「行動を生じさせ、その行動を継続し、何らかの目標に方向づける一連の心理的な過程」とされています。
よくモチベーションが上がらないと言ったりしますよね。簡単に言うと行動するための原動力のようなものだと言えます。
このモチベーションには「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」があります。
内発的動機づけと外発的動機づけ
- 内発的動機づけ
それをすることが楽しい、もっとできるようになりたいというもので、自分の内面に湧き起こる興味・関心・意欲からくるモチベーション
- 外発的動機づけ
「がんばったら痩せられる」、「やらないと身体が痛くなる」というもので、その行動をすることで得られる自分の報酬・罰などの結果からくるモチベーション
基本的に外発的動機づけで運動を行っていると、長続きしにくいです。外発的動機づけの場合、報酬や罰などの結果がなくなると辞めてしまいやすい傾向にあるためです。一方、内発的動機づけは結果ではなく、運動をすること自体を楽しんでいるため、長続きしやすいです。例えば、外発的動機づけである「痩せるため」に運動を行っていたとしましょう。
「痩せるため」であれば運動である必要はなく、他の手段でもいいということになります。痩せる方法が運動ではなく食事でも可能であったり、「〇〇だけで-△㎏」というようなものや、そちらの方法のほうが楽だったりするとついついそちらに目がいってしまいがちです。
また、頑張った結果として痩せてしまったら目標達成、つまり目的を失ってしまいやすいです。こちらは「身体の痛みの改善」を目的としている場合にも特に当てはまりやすいかと思います。身体に痛みがあるうちはそれを改善したいので頑張ってリハビリに通ったり、施術を受けたりしますが、痛みがなくなったとしたらどうでしょうか?もう頑張る理由がなくなってしまいませんか?
自分が運動をしている理由を深掘り
あなたが運動を頑張っている理由(原動力)は何ですか?
・痩せたい、筋肉を増やしたい
・疲れにくくなりたい、体力を向上させたい
・健康な身体でいたい、身体の不調を改善したい
・仲間やトレーナーと運動をするのが楽しい
・運動をしながら会話するのが楽しい
・段々できること増えるのがうれしい
・新しいエクササイズにチャレンジするのが楽しい
・もっと身体を動かせるようになりたい
・家族に安心してほしい
・スポーツでもっと活躍したい、成績を上げたい
・病気になりたくない、病院に行きたくない
ここに挙げた以外にも、様々な理由で運動されているかと思います。
自分が運動を頑張っている理由を振り返ってみてください。一つではなく挙げられるものをいったん全部出してみましょう。その中で先ほどの内発的動機づけと外発的動機づけに分類をしてみてください。
内発的動機づけに該当するものが一つでもあれば、そこに意味づけをすることで自然と運動は継続できていくと思います。一方、外発的動機づけしか出てこなかった場合でも、落胆しなくても大丈夫です。その外発的動機がきっかけとなり、そこから内発的動機づけに変わってくこともあります。むしろ内発的動機づけからスタートするほうが少ないと個人的には思います。
「痩せるため」という外発的動機づけで運動を行っている中で、運動の楽しさを発見したり、運動に対しての意欲を湧かせるものを見つけたり、共に頑張れるトレーナーや仲間と出会ったり、運動というプロセスの中で内発的動機づけは発現してくるものだと思います。
そのためには、運動をする環境がとても大切です。そういった内発的動機づけが湧き出てくるような環境で運動を実施することで自然と運動は継続できていくものではないでしょうか。
まとめ
今回は運動に対するモチベーション、動機づけという部分について話をさせていただきました。
「トレーナーさんはやっぱり自分のトレーニングはずっと継続しているんでしょう?すごいですね!」と言われることが時折ありますが、トレーナーも人間ですので、やはり楽をしたい、苦しいことは基本的にはしたくないんですね。特にバーベルスクワットはきついのでいつも葛藤しながらやっています。きついから今日はやめておこうかなとか、少しボリューム設定を甘くしようかななんて考えたりもします。
その中で自身のトレーニングを継続的行っているのにも、このような動機づけがあるから続けられているんですね。そこはトレーナーも皆さんと一緒なのでご安心を。
(文/辻)
〈参考文献〉