朝食は食べた方がいいの?
日ごとに秋が深まってきました。朝の冷え込みも強くなり、布団から出るのが億劫になる時期がやってきますね。
ギリギリまで布団にくるまり、気づけば朝食を食べる時間がない!なんてことはないですか?
今回は朝食の重要性について書かせていただきます。
朝食の欠食率
厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」の結果によると、全国における朝食の欠食率は、成人男性で15.5%、成人女性で9.1%です。年代別では、男性は40代が最も高く50%、女性は20代が最も高く35.7%でした。
*調査の欠食とは、以下の3つの合計となります。
①食事をしなかった場合
②錠剤などによる栄養素の補給、栄養ドリンク剤のみの場合
③菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみを食べた場合
朝食の欠食による血糖変動
朝食を欠食すると昼食後の血糖上昇幅が大きく、上昇状態が長く続くとされています。
1日3食、バランスよい食事を摂ると、食後緩やかに血糖が上昇し、その後インスリンの分泌によって緩やかに血糖が下降します。ただ、欠食や炭水化物中心の食事などの偏った食事をすると、血糖の乱高下を引き起こします。血糖の変動幅が大きい場合、身体への酸化ストレスが高まり、動脈硬化を促進させ、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが増加したり、がんや認知症などを進めるとの報告もあります。
<1日3食バランスよく摂取した場合の血糖変動>
<朝食を欠食した場合の血糖変動>
セカンドミール効果
同じ内容の昼食を摂っていても、朝食を欠食すると昼食後30分、60分の血糖値は朝食を摂取した場合に比べ、優位に高値を示したとの報告があります。これが1981年ジェンキンスが報告した『セカンドミール効果』と言われるもので、「最初の食事内容の変化が、次の食事の後の血糖値に影響を及ぼす」というものです。
また、朝食に何を食べるかも影響を及ぼします。朝食時に食物繊維やたんぱく質を豊富に含む物を摂取することで、昼食時の血糖の上昇を抑制されるとの研究結果もあります。
朝食は大切!
このように朝食の欠食が身体に与える影響は大きいです。何かと忙しい朝ですが、まずは朝食を欠かさないことと、次に食物繊維やタンパク質など栄養バランスのいい朝食を心がけましょう。
(文/出野彩里)
参考
・令和元年国民健康・栄養調査報告
・日本医師会ホームページ
・小川恒夫,野間朱里,本部優佳.朝食欠食時のインクレチンについて.2022
・林詩央里,高部雅子,小椋真理,八木雅之,米井嘉一.昼食後血糖に及ぼす朝食の影響[原著論文-日本語訳版].2017
・田中逸.時間代謝学に基づく効率的な食事と運動を考える.2016