2025-09-12

「食事×運動」で解決するアンチエイジング!若返りのための新習慣

ふと鏡を見たときに感じる肌の変化。以前よりも疲れやすくなったと感じる身体のサインや体重の増加。これらは、加齢に伴う自然な体の変化です。しかし、この変化は、ただ受け入れるしかないものでしょうか?

身体の内側から輝きを取り戻す「アンチエイジング」は、特別な美容法ではありません。それは、日々の食事と運動を通じて、健康的な体をつくるライフスタイルです。サプリメントに頼る前に、まずは食卓を見直し、体を動かすことから始めてみませんか?今回は、若々しさを保つ鍵となる2つの概念、「抗酸化」と「抗糖化」に焦点を当て、具体的な食事と運動の連動方法をご紹介します。

抗酸化作用:錆びつかない身体をつくる

私たちの身体は、呼吸や代謝によって常にエネルギーを生み出しています。その過程で、細胞を傷つけ、老化を加速させる活性酸素が発生します。例えるなら、活性酸素は、釘を錆びさせるように、私たちの体を内側から「酸化」させてしまうのです。この酸化が、シミやシワ、さらには動脈硬化やがんなどの病気の原因にもなり得ます。

しかし、身体にはこの活性酸素の働きを抑える抗酸化物質という「防御システム」が備わっています。このシステムを強化することが、アンチエイジングの第一歩です。

抗酸化力を高める食事の秘訣

抗酸化物質は、植物由来の食品に豊富に含まれています。特に、色鮮やかな野菜や果物には、強い抗酸化力を持つ成分が多く含まれています。

ビタミンCとビタミンEのゴールデンコンビ

ビタミンCは、コラーゲンをつくり、肌のハリを保つ働きがあります。また、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑えるため、「美肌のビタミン」として知られています。パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちごなどに豊富です。
一方のビタミンEは、細胞膜を酸化から守る「守りのビタミン」です。アーモンド、アボカド、かぼちゃ、ほうれん草などに多く含まれます。これら2つは、一緒に摂ることで互いの抗酸化作用を高め合うため、サラダやスムージーなどで組み合わせるのがおすすめです。

ポリフェノールとカロテノイドのパワー

ポリフェノールは、植物が紫外線などから身を守るために蓄える成分で、その種類は非常に豊富です。緑茶に含まれるカテキンは、脂肪燃焼効果も期待できます。ブルーベリーやナスに含まれるアントシアニンは、目の健康にも良いとされます。大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをすることで知られています。

カロテノイドとは、植物の色素成分です。トマトの赤い色素リコピンは、最も強い抗酸化力を持つ成分の一つです。加熱や油と一緒に摂ることで吸収率が上がりますにんじんやかぼちゃの黄色い色素β-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚の健康を保ちます。

運動との連動:活性酸素をコントロールする

適度な運動は、細胞内のエネルギー生産工場であるミトコンドリアの働きを活性化させ、効率的なエネルギー代謝を促します。これにより、過剰な活性酸素の発生を抑えることができるのです。

有酸素運動

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、血流を改善し、全身の細胞に酸素を行き渡らせます。これにより、体内の老廃物が排出されやすくなり、酸化ストレスの軽減につながります。

レジスタンストレーニング

筋肉は、体の中でも特に多くのエネルギーを消費する器官です。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、安静時でもエネルギー消費が効率的に行われるようになります。これにより、不必要な活性酸素の発生を防ぐことにつながります。

抗糖化作用:焦げつかない体をつくる

もう一つの老化の鍵が、糖化です。これは、食事から摂った余分な糖が、体内のタンパク質や脂質と結びついて、老化物質である「AGEs」がつくられる現象です。例えるなら、パンケーキを焼いたときに焦げ付くように、体が内側から「焦げ付いて」しまうのです。

AGEsは、一度できると分解されにくく、体内に蓄積されます。肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンが糖化すると、肌がくすみ、シワやたるみが進行します。さらに、血管や骨にも影響を与え、動脈硬化や骨粗鬆症のリスクを高めることが分かっています。

抗糖化力を高める食事の秘訣

糖化を防ぐには、血糖値の急激な上昇を抑えることが何よりも重要です。

低GI(グリセミック・インデックス)食品を選ぶ

GI値は、食品を摂ったときの血糖値の上がりやすさを示します。GI値が低い食品は、血糖値が緩やかに上昇するため、糖化が起こりにくくなります。
主食に関しては、白米よりも玄米やもち麦、食パンよりもライ麦パンがGI値が低いです。
野菜では、じゃがいもなどの根菜よりも、葉物野菜やきのこ類を積極的に摂るなどの選択が必要です。

食物繊維を先に摂る

食事の最初に野菜や海藻類を食べる「ベジタブルファースト」を実践しましょう。食物繊維が糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぎます。

調理法を見直す

高温調理はAGEsを多く生み出します。揚げ物や炒め物よりも、蒸す、茹でる、煮るなどの調理法を選ぶと、AGEsの摂取量を減らすことができます。

運動との連動:糖を消費する体をつくる

運動は、糖化を防ぐための最も効果的な方法の一つです。

食後の軽い運動

食後に血糖値が最も高まる15~30分後に、15~20分程度のウォーキングやストレッチを行うと、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして利用するため、血糖値の急上昇を抑えることができます。

筋肉を増やす

筋肉は体内の最大のブドウ糖消費器官です。筋肉量が増えると、より多くのブドウ糖をエネルギーとして消費できるようになり、血糖値が安定します。スクワットや腕立てなどの簡単な筋トレでも効果はあります。

アンチエイジングは、特定の食品やサプリメントに頼る魔法ではありません。それは、日々の食事で抗酸化・抗糖化を意識し、適度な運動で体の代謝を高めるという、小さな積み重ねの先にあります。

抗酸化食品と抗糖化食品をバランス良く組み合わせ、通勤時に一駅分歩く、食後に軽くストレッチをするなど、無理のない範囲で生活に運動を取り入れる。こうしたシンプルな習慣が、10年後、20年後の若々しさをつくり、健康な人生を支えてくれます。今日から、未来の自分への投資を始めてみませんか?

(文/小山七海)

<参考文献>
・食事由来AGEs:アンチエイジングの新しい治療標的/日本抗加齢医学会
・「運動が、慢性疾患を増悪化する細胞老化を抑制するメカニズムを解明」プレスリリース, 2024年7月18日/東京都健康長寿医療センター研究所
・「筋力トレーニングが美肌に貢献することを世界で初めて報告」プレスリリース, 2023年6月30日/立命館大学

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