2026-03-31

季節の変わり目を乗り切るビタミンと運動習慣

季節の変わり目は、多くの人にとって「なんとなく身体がだるい」「風邪を引きやすい」「気分が落ち込む」といった不調、いわゆる気象病や自律神経の乱れが生じやすい時期です。

急激な気温の変化(寒暖差)や気圧の変動は、私たちの身体にとって大きな「物理的ストレス」となります。このストレスに対抗し、恒常性(ホメオスタシス)を維持するために、体内では膨大なエネルギーと特定の栄養素が消費されます。

今回は季節の変わり目に特に重要となるビタミンの役割と効果的な摂取方法、そしてそれらの効果を最大化する運動との関わりについて解説します。

季節の変わり目に、なぜビタミンが必要?

私たちの身体は、気温が変化すると自律神経を介して血管を収縮・拡張させたり、発汗を調節したりして体温を一定に保ちます。この調整にはエネルギー代謝の活性化が不可欠であり、そのプロセスで「潤滑油」として働くのがビタミンです。

特に以下の3つの要素が、季節の変わり目の不調に直結します。

  1. 自律神経の過負荷: 寒暖差への対応により交感神経が優位になり続け、ビタミンが枯渇する。
  2. 免疫機能の低下: 粘膜の乾燥やストレスにより、ウイルスへの抵抗力が弱まる。
  3. セロトニン不足: 日照時間の変化(特に秋冬)により、幸福ホルモンであるセロトニンの合成が滞る。

重点的に摂取すべきビタミンとその働き

季節の変わり目に意識して摂取したいビタミンは、大きく分けて「エネルギー代謝系」「抗酸化・免疫系」「メンタルサポート系」の3群です。

ビタミンB群(B1, B2, B6, B12, パントテン酸など)

ビタミンB群は「代謝のビタミン」と呼ばれます。食事から摂った糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変える際に必須の成分です。

  • 効果: 疲労回復、神経機能の維持、倦怠感の解消。
  • 摂取方法: B群は互いに助け合って働くため、単体ではなく「コンプレックス(複合体)」で摂るのが理想的です。
  • 食材: 豚肉、レバー、玄米、納豆、卵、カツオ。

ビタミンC

強力な抗酸化作用を持ち、ストレスに対抗するホルモン「コルチゾール」の合成に不可欠です。

  • 効果: 免疫力の向上、コラーゲンの生成(粘膜の保護)、ストレス緩和。
  • 摂取方法: 水溶性で体外に排出されやすいため、1日数回に分けて摂取するのが効率的です。
  • 食材: キウイ、ブロッコリー、パプリカ、イチゴ、ピーマン。

ビタミンD

近年、季節性感情障害(SAD)や免疫機能との関わりで最も注目されているビタミンです。

  • 効果: 骨の健康維持だけでなく、免疫系の調節、セロトニンの分泌促進。
  • 摂取方法: 食事からの摂取に加え、日光浴が重要です。冬場は特に不足しやすいため、サプリメントの活用も検討に値します。
  • 食材: 鮭、サンマ、キクラゲ、干し椎茸。

ビタミンA(β-カロテン)

「粘膜のビタミン」と呼ばれ、ウイルスが侵入する最初のバリアを強化します。

  • 効果: 喉や鼻の粘膜を正常に保つ、視力の維持。
  • 摂取方法: 脂溶性のため、油と一緒に調理することで吸収率が劇的に上がります(野菜炒めやドレッシングなど)。
  • 食材: ニンジン、カボチャ、ほうれん草。

効率を最大化する「摂取のゴールデンルール」

ただ摂取するだけでなく、吸収効率を考えることが重要です。

吸収を助けるコツ注意点
 水溶性ビタミン  
(B, C)
数回に分けてこまめに摂取。熱に弱いため、生食や蒸し調理が理想。
 脂溶性ビタミン  
(A, D, E, K)
油(オリーブオイル等)と一緒に摂る。過剰摂取に注意(体内に蓄積しやすいため)。

ビタミンと「運動」の密接な相互作用

栄養摂取と同じくらい重要なのが、適度な運動です。ビタミンと運動は、車の両輪のような関係にあります。

代謝のブースト効果

ビタミンB群を十分に摂取した状態で有酸素運動(ウォーキングやジョギング)を行うと、脂質や糖質の燃焼効率が上がり、乳酸などの疲労物質が溜まりにくい体質になります。

セロトニンとビタミンDの相乗効果

屋外で日光を浴びながら運動することは、ビタミンDの体内合成を促すと同時に、脳内のセロトニン分泌を活性化させます。これは「春先や秋口の気分の落ち込み」に対する強力な予防策となります。

活性酸素への対策

激しい運動は体内に「活性酸素」を生み出しますが、ビタミンCやEなどの抗酸化ビタミンを摂取しておくことで、運動による細胞のダメージを最小限に抑え、トレーニング効果を最大化できます。

今日から実践できる3つのステップ

季節の変わり目による不調を回避し、健やかに過ごすための指針は以下の通りです。

  1. 「色」を意識した食事: 赤・黄・緑の濃い野菜を毎食取り入れ、ビタミンA・C・Eを網羅する。
  2. 朝の15分: 朝日を浴びながら散歩し、ビタミンD合成と自律神経のリセットを同時に行う。
  3. サプリメントは補助として: 基本はリアルフード(食材)から。不足を感じる場合は、医師や薬剤師に相談の上でマルチビタミンを活用する。

私たちの身体は、食べたものと動かした習慣によって作られます。季節の変化を「耐える時期」ではなく、内側からコンディションを整える「アップデートの時期」と捉え、日々の栄養と運動を見直してみましょう。

(文/小山七海)

<参考文献>
・日本人の食事摂取基準(2025年版)/厚生労働省
・『健康食品』の安全性・有効性情報/国立健康・栄養研究所
・最新 栄養学第2版(図解生活科学シリーズ)/上西一弘 著
・ビタミンの辞典/糸川嘉則 編

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