【歪んだままの筋トレは「事故」のもと】40代からのトレーニングに必要なのは、ジムの前の「チューニング」
「将来のために筋肉をつけなければ」
「代謝が落ちてきたから、運動習慣を身につけたい」
そんな前向きな思いで、ジムへの入会を検討したり、すでにトレーニングを始めたりしている方も多いかと思います。その行動力と投資意欲は、とても素晴らしいです。しかし、同時にこんな「不安」が心のどこかに引っかかっていませんか?
「昔、ジムに通ったら逆に膝が痛くなったことがある」
「自己流でスクワットをしたら、腰に違和感が出た」
「整体に通っているけれど、運動したらまた痛くなるんじゃないか…」
40代以降の方にとって、この不安は決して大げさなものではありません。むしろ、無視すべきでない重要なことです。
身体の歪みや不調を抱えたまま、いきなり「鍛える」ステージへ飛び込むのは、パンクしたタイヤのまま高速道路を走るようなものです。 それはトレーニングではなく、身体という車体を壊す「事故」へのカウントダウンになりかねません。

今回のコラムでは、なぜ「大人のトレーニング」において、ジムで重りを持つ前の「チューニング(調律)」が不可欠なのか。そして、なぜ「ほぐす(ケア)」と「鍛える(トレーニング)」を分断してはいけないのか。その理由を、身体のメカニズムに基づいて紐解いていきます。
なぜ、あなたのトレーニングは「事故」につながるのか?
若い頃は、少しくらいフォームが崩れていても、若さゆえの筋力や関節の柔軟性でカバーできました。しかし、40年以上使い続けてきた私たちの身体には、長年の生活習慣による「癖」や「歪み」という歴史が刻まれています。
1)「代償動作(だいしょうどうさ)」の罠
例えば、デスクワークで股関節が固まっているとします。その状態でスクワットをしようとすると、股関節がうまく曲がらないため、身体は無意識に「腰」を丸めたり、過剰に反らせたりして、なんとか深くしゃがもうとします。
これを「代償動作」と呼びます。本来動くべき関節(股関節)が動かずに、動いてはいけない関節(腰椎)が犠牲になって動きをカバーする現象です。
この状態で「頑張って10回×3セット」を行うことは、筋肉を鍛えているのではなく、「腰を痛める動き」を脳に反復練習させているのと同じです。これが、トレーニングで身体を壊す一番の原因です。
2)「感覚センサー」の鈍化
40代以降の身体の不調の多くは、筋力不足以前に、脳と筋肉をつなぐ神経伝達のエラーにあります。
「お尻に力を入れてください」と言われて、すぐにお尻だけをキュッと固められますか?
もし「太ももの前側に力が入ってしまう」「よく分からない」という場合、筋肉の動かし方がぼやけてしまっている可能性があります。この筋肉の動かし方をぼやっとした状態で高負荷のトレーニングを行っても、狙った筋肉(お尻)には効かず、使いやすい筋肉(太ももや腰)ばかりが酷使され、歪みがさらに助長されてしまうのです。

「整体」だけでは片手落ち、「ジム」だけでは危険すぎる理由
ここで、多くの健康意識の高い方が陥る「落とし穴」があります。それは、身体のケア(治療・リラクゼーション)と、トレーニング(強化)を、全く別の場所、別のタイミングで行ってしまうことです。
パターンA:整体・マッサージに通い詰める「受動的ケア」派
「痛いから、まずは治してから」と、整体やマッサージに頻繁に通う(投資する)。施術直後は身体が軽くなり、歪みも整います。しかし、家に帰る頃、あるいは翌日には元に戻っている…。そんな経験はありませんか?
これは当然のことです。施術で筋肉を「ほぐす(マイナスをゼロにする)」ことはできても、その整った状態を維持するための筋力や、正しい動かし方を脳が学習していないからです。
「緩める」だけでは、身体は支えを失い、逆に不安定になることさえあります。
パターンB:痛みを押して頑張る「能動的トレーニング」派
「筋肉をつければ痛みは消えるはず」と信じて、歪んだままの身体に鞭打ってジムに通う。これは前述の通り、代償動作による「事故」のリスクと隣り合わせです。
トレーナーに「もっと胸を張って!」と言われても、胸椎(背骨)が固まっていれば、腰を反らすことでしか応えられず、結果として腰痛が悪化します。
「ケア」と「トレーニング」の間にあるミッシングリンク:それが「チューニング」
では、どうすれば良いのでしょうか?
答えはシンプルです。「ほぐす(受動)」と「鍛える(能動)」の間にある、「整えて、スイッチを入れる(チューニング)」という工程を挟むことです。そして何より重要なのは、これらを「同じセッション内」でシームレスに行うことです。
ステップ1:Release(解放する・ほぐす)
まず、長年の癖でガチガチに固まり、ブレーキとなっている筋肉や関節を、徒手療法(ボディケア)やストレッチで解放します。これは、車のメンテナンスで言えば、錆びついたギアにオイルを差す作業です。
ステップ2:Activation(活性化・スイッチを入れる)
ここが重要です。整った状態で、眠っていた筋肉(サボっていた筋肉)に「今はここを使うんだよ」と刺激を入れ、脳のセンサーを目覚めさせます。エンジンの点火プラグを確認する作業です。
ステップ3:Integration(統合する・鍛える)
ここで初めて、スクワットやマシンなどの「トレーニング」に入ります。
チューニングが済んだ身体は、驚くほどスムーズに動きます。「あ、お尻を使うってこういうことか!」「背中が伸びるって気持ちいい!」という感覚が、痛みなく実感できるはずです。
この「Release → Activation → Integration」という一連の流れを、一度のセッションの中で完結させること。これこそが、40以降の身体を変えるために重要です。

提供するのは、あなた専属の「ピットクルー」
一般的なジムでは、「トレーニングは教えるけれど、身体のケアは治療院でやってきてね」というスタンスがほとんどです。逆に治療院では、「痛みは取るけれど、トレーニングはジムで聞いてね」となります。
しかし、ケアとトレーニングは、表裏一体のものです。
メディカルフィットネスM’sでは、ボディケアのスキルと、トレーニング指導のスキルを高度なレベルで兼ね備えた専門トレーナーが、あなた専属の「ピットクルー」として寄り添います。
今日のあなたの身体は、昨日と同じではありません。
「今日はデスクワークが長くて腰が張っているな」と判断すれば、最初の15分を入念なボディケアとストレッチに充て、可動域を確保してからトレーニングに入ります。
「腰が痛いから休む」のではなく、「腰が痛いから、その原因となっている股関節の詰まりを取りに行こう」と考えてください。痛みの原因を取り除くための「調整運動」を提供します。
投資すべきは「一時的な快楽」ではなく「一生モノの機能」
今まで、マッサージなどの「受動的なケア」にかけてきた時間と費用を、少しだけ「未来のための投資」に振り向けてみませんか?
「やってもらう」だけのケアは、その場の気持ち良さはあっても、根本解決には至りません。一方で、チューニングを経て、ご自身の筋肉で身体を支えられるようになれば、それは一生消えないあなたの「資産」になります。
歪んだまま走るのをやめて、まずは一度、ピットインしてみましょう。
メディカルフィットネスM’sは、ただ筋肉をつけるだけの場所ではありません。あなたの身体という車の性能を最大限に引き出し、この先の人生という長い道のりを、痛みなく、快適に、そして美しく走り続けるための「メンテナンス&ビルドアップ」工場です。
私たちと一緒に、本質的な身体づくりを始めてみませんか?
(文/辻弦)









