体脂肪は筋肉に変わるのか?
気温も高くなり薄着の季節がやってくると、ボディラインが気になってきます。皆さんは、「身体についている脂肪が筋肉になればいいのに…」と、一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
実際に体脂肪を筋肉に変えることができるのでしょうか。
筋肉と体脂肪
まずは筋肉と体脂肪の成分を考えてみます。筋肉はたんぱく質、脂肪は脂質からできているので全くの別物です。ですので脂肪が筋肉に変化することはありません。体脂肪は運動により燃焼され体脂肪量が減り、筋肉は筋肥大により大きくなります。
そのためそれぞれを構成する栄養素も異なります。筋肉は肉や魚類に含まれるたんぱく質の摂取で体内で再合成され筋への材料となります。
脂肪の素である菓子類や油脂類の過剰摂取は中性脂肪として体内に貯蓄されるとともに、心疾患や・脳血管疾患にもつながります。
目的別の運動
体脂肪量減少と筋肉量向上とでは適しているトレーニングも異なります。
筋肉量増加を目的としてトレーニングをする場合、最大努力の70~80%の運動が効果的です。最近では高負荷でなく最大努力の30%ほどの低負荷でも疲労するまで反復することにより筋肥大に影響するという報告もあります。運動を始めて数週間で筋力の向上はみられますが、実際に筋の肥大は3ヶ月以上のトレーニング期間が必要です。
脂肪燃焼のための運動は最大努力の40~60%の負荷が脂質の利用率であり効果的です。実施時間も1回の運動で開始から20分後より、脂質がエネルギーとして利用されます。
筋力トレーニングと有酸素運動
トレーニングを行うことによりいくつかのホルモンが分泌されます。その中の成長ホルモンは高負荷のトレーニングにより分泌し筋肥大を促しますが、体脂肪の分解も促進します。そのため、減量を目的の場合は筋トレをしてから有酸素運動をすることが推奨されています。
逆に有酸素運動を長時間行ってから高負荷のトレーニングを行うと成長ホルモンの分泌が減弱することから、筋肥大のためのトレーニングを行ってから有酸素運動をすると効果的です。
運動はエネルギーを消費するだけではなく基礎代謝の上昇も認められています。基礎代謝が高いと多くのエネルギーを消費することができ、体脂肪の分解も促進します。
まとめ
脂肪が筋肉へ変換されることはありませんが、筋肉や体脂肪に対しそれぞれ適した運動を選択してみてはいかがでしょうか。
運動を開始するにあたり何から始めればいいか分からない、とお困りの際はぜひこちらでもご相談ください。
<参考資料>
・運動とスポーツの生理学(著/北川薫)
・筋力トレーニングの適応とその効果(著/向本敬洋)
(文/小山七海)