2024-10-14

体組成測定結果の見方

体組成計で測定をすると様々な結果(数値)が出てきます。「低い・標準・高い」と評価されたり、「1・2・3・4・5点」と評価されたり、結果に応じたこの評価を見て一喜一憂してしまいますよね。

このような数値や評価に目がいきがちですが、その測定結果が何を表しているのか、そしてその測定結果をどう用いるのか、それらについてもう少し踏み込んで知ることで測定結果を活用することができます。

今回は測定結果を有効活用していただく方法をご紹介したいと思います。

代表的な測定項目

機器やメーカーによって内容は異なると思いますが、よく使用されている項目は以下の内容と思います。

・体重
・筋肉量
・除脂肪量
・体脂肪量
・体脂肪率
・BMI
・体水分量
・基礎代謝量

体重・筋肉量・脂肪量から読み取れること

これらの項目はそれぞれの重量を示しています。項目単体での評価に加えて、それぞれの項目と他の項目とのバランスを見ることが大切です。

よく見る組み合わせとしては以下のパターンがあります。

1)体重:多い、筋肉量:標準、脂肪量:多い

肥満体型と推察されます。食生活に問題がある可能性が高く、体脂肪を減らすために食事を始めとした生活習慣の見直しが必要です。過体重状態でのジョギングなどは関節を痛める可能性があるため、有酸素運動はウォーキングや自転車、水中ウォークなどから始めるといいと思います。

2)体重:多い、筋肉量:多い、脂肪量:少ない

体重は多くても筋肉量が多く、脂肪量が少ないことからアスリート体型と推察されます。現状で何も問題がなければ特に介入する必要性はないでしょう。トレーニングやスポーツなどを辞めた際など身体活動レベルが変化した際には体組成が変化しやすいので注意が必要です。

3)体重:標準、筋肉量:少ない、脂肪量:標準

一見は標準的な体型に見えますが、隠れ肥満の可能性があります。活動量の低下などにより筋肉量が減少しているため、ウォーキングなどの有酸素運動ではなく筋力トレーニングを取り入れる必要があります。

4)体重:低い/筋肉量:低い/脂肪量:標準

いわゆる痩せ型です。疲れやすく活動量も低下していることが推察され、無理な減量等による栄養不足に陥っている可能性も考えられます。先ずは栄養の改善を行う必要性があり、段階に応じて筋力トレーニングなどの運動を取り入れていくことをおすすめします。

体脂肪率とBMIを見るときの注意点

BMIも体脂肪率も肥満指標として用いられる数値ですが、まずはそれぞれが何を示しているのかを見ていきましょう。

◯BMI(Body Mass Index)
身長と体重のみを使って見かけの肥満度を表しています。

◯体脂肪率
体重に対する体脂肪量の割合を表しています。

BMIは身長に対する体重の大きさです。同じ身長170cmの男性AさんとBさんがいたとして、Aさんは体重が63kgでBさんは体重が75kgだとします。そうするとAさんはBMI21.8、Bさんは25.9ということで、BMIではAさんは普通体重、Bさんは肥満1度ということになります。

体脂肪率は文字通り、体重に対する体脂肪量の大きさです。再び同じ身長170cmのAさんとBさんを例に、Aさんは体脂肪率が22%でBさんは体脂肪率が11%だとします。そうすると体脂肪率ではAさんは軽度肥満、Bさんは標準ということになります。ちなみに体脂肪率から実際の体脂肪量を計算すると以下のようになります。

  • Aさん:体重63kg×体脂肪率22%=体脂肪量約13.8kg
  • Bさん:体重75kg×体脂肪率11%=体脂肪量約8.2kg

BMIと体脂肪率で異なる評価となっているAさんとBさんですが、これらの結果から以下のように読み解くことができます。

  • Aさん:標準体重でBMIも問題ないが体脂肪率が高く、運動不足で筋肉量が少なく隠れ肥満の状態だと考えられる
  • Bさん:BMIでは肥満1度だが、筋力トレーニングやスポーツを行っていて筋肉質であるために体重が重たいと考えられる

どちらか片方だけを見るとAさんとBさんのように異なった評価になることがありますので、BMIと体脂肪率は両方を組み合わせて見ることが大切です。

知っているようで詳しくは知らない基礎代謝量

基礎代謝量とは私たちが心臓を動かしたり、呼吸を行ったり、体温を保ったりと、生命を維持する上で最低限必要なエネルギー量のことを指します。逆を言えば、このエネルギー量が確保できないと体温を保つことが困難になるなどの不具合が生じます。

実際には私たちは生命維持に加えて、歩く、立つ、料理をする、食べ物を消化して吸収するなどの活動を行います。ですので、この基礎代謝量に加えて活動するために必要なエネルギーも存在します。

この基礎代謝量と身体活動に応じて必要なエネルギー量の合計が1日に摂取しなければならないエネルギー量ということになります。

基礎代謝量が分かると身体活動レベルに応じた必要なエネルギー量の目安がわかります。計算式はややこしいため割愛しますが、ネットで検索すると自動計算してくれる便利なサイトがありますので、そちらを活用いただければ簡単に算出することが出来ます。

筋肉を増やしたい(増量)、体脂肪を減らしたい(減量)という時はまずはこの自身の必要なエネルギー量を把握した上で以下のように考える必要があります。

  • 増量する場合:必要エネルギー量 < 摂取エネルギー量
  • 減量する場合:必要エネルギー量 > 摂取エネルギー量

この大原則を踏まえた上で何を増量、減量するといった目的に応じたアプローチが必要になります。

まとめ

体組成の測定は日々の健康管理の一環として簡便で継続しやすいものだと思います。

健康診断と同じように定期的に測定を行うことで、ちょっとした変化に気づく機会や、取り組みに対するフィードバックを与えてくれます。

ちょっと目をつぶってみたり、焦って対策をしたり、結果を受けての対応は人それぞれだと思いますが、この与えられた機会やフィードバックをぜひ活かしてみてくださいね。

(文/辻弦)

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