スクワットで股関節がつまるのはなぜ?
スクワットでしゃがんだ際に股関節の前方がつまるような感じや、違和感が生じる場合がありませんか?スクワットに限らず靴下を履く時や、座っている時にも生じることがあります。
今回はその原因として考えられる要因と改善エクササイズについてご紹介したいと思います。
つまるってどんな状態?
下の図は股関節を前から見たものです。下の図のように股関節は骨盤の寛骨臼蓋と大腿骨の骨頭とで構成されている関節です。スクワット時にはこの股関節を曲げる動き(屈曲)をしているわけなのですが、この時に大腿骨頸部という部分と骨盤の寛骨臼蓋部というところが必要以上に衝突してしまっているような状態がいわゆる「つまる」という状態です。
なぜ股関節がつまるのか?
大きく以下の3つの要因が考えられます。これらは単体で生じている場合もあれば、複数の要因が影響している場合もあります。
- 骨盤の安定性低下
- 股関節の安定性低下
- 骨盤後傾もしくは股関節伸展の可動性低下
1)骨盤の安定性低下
スクワットでしゃがんでいく際に必要以上に骨盤が前傾しすぎている場合、股関節につまり感を生じます。これはスクワット動作の際に骨盤のポジションを上手くコントロールできていないということです。
2)股関節の安定性低下
下の図は股関節を後から見たものです。お尻の後ろにある筋肉(股関節外旋筋群)が硬くなっていると、スクワットでしゃがんでいく際に股関節がスムーズに転がったり、滑ったりする(関節包内運動)ことができず、結果として前方へ押し出されるような形で関節が動くため生じるケースです。
3)骨盤後傾もしくは股関節伸展の可動性低下
骨盤が前傾し、骨盤の後ろの筋肉(多裂筋など)や股関節の前方の筋肉(腸腰筋など)が過緊張状態となっていたり、筋肉が短縮していたりして骨盤の後傾がそもそもできない場合です。
改善エクササイズ
それぞれの要因別に改善エクササイズをご紹介します。
1)骨盤の安定性改善エクササイズ
- ニーリング・バーアシスト・ヒップヒンジ
必要な道具/1mぐらいの木の棒など(大きめの傘でもOK)
1.膝立ちになり棒を背中に当て、骨盤の後ろと背中、頭を棒に当てて立ちます。
2.膝は腰幅ぐらいに開きます。
3.バーに頭、背中、骨盤をしっかりつけたまま、股関節からお辞儀をするように上体を倒していきます。
4.ゆっくり元の姿勢に戻ります。
2)股関節の安定性改善エクササイズ
- お尻のストレッチ
1.仰向けで両膝を立てます。
2.片足の足首あたりを反対側の膝の上にひっかけます。
3.両手で足をのせた太ももをつかまえ、胸の方へ引き寄せます。
3)股関節伸展の可動性改善エクササイズ
- 腸腰筋ストレッチ
1.片膝立ちになり、両手を前の膝の上にのせます。
2.おへそを内側へ向けるように意識し、軽くお尻に力を入れておきます。
3.上体を起こしたまま前へ体重をかけます。
3)骨盤後傾の可動性低下改善エクササイズ
- ロウアー・サイドベント
1.横向きになり股関節と膝関節が90°になるようにします。
2.両脚を揃えたまま、骨盤から足を引き上げます。
3.横腹や腰辺りに力が入った状態で5秒ほどキープし、その後脱力します。
まとめ
スクワットなどで股関節の前方につまり感を感じる際は上記のエクササイズを試してみて、その後改善が見られたらそのエクササイズに対応した要因が影響していると考えられます。股関節の前方につまり感や違和感がある方はぜひ試してみてください。
(文/辻)