高血圧には減塩!?
高血圧は生活習慣や社会的要因などの環境要因と遺伝的要因が大きく関わっています。血圧を正常に保つためには、運動や食事を主とする生活習慣の改善が必要です。
日本人の食事において食塩の摂取量が多いと言われています。食塩の過剰摂取は、血圧を上げる大きな要因の一つです。
高血圧の基準
日本高血圧学会の高血圧診断基準は以下の表の通りで、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
生活習慣の修正
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによると、生活習慣の修正項目として以下の6つの項目をあげています。
1. 食塩制限:6g/日未満
2. 野菜、果物、多価不飽和脂肪酸の積極的摂取
飽和脂肪酸、コレステロールの摂取を控える
3. 適正体重の維持:BMI25未満
4. 運動療法:毎日30分以上または週180分以上の運動
5. 節酒:アルコール量で男性20-30ml/日以下、女性10-20ml/日以下に制限する
6. 禁煙
※肥満者や糖尿病患者では果物の過剰摂取に注意。野菜や果物の摂取については腎障害のある患者では医師に相談が必要。
今回はこの項目の中から「減塩」について書かせていただきます。
塩分摂取と生活習慣病
食塩摂取量と血圧には相関関係が認められており、食塩摂取量が多い人ほど血圧が高い傾向にあります。更に食塩摂取量は高血圧であってもなくても、脳卒中による死亡率と関連があり、心臓血管系疾患発症リスクの増加との関連も報告されています。
日本人の塩分摂取量
厚生労働省の令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」によると、食塩摂取量の平均値は10.1g、男性は10.9g、女性は9.3g です。1日の摂取量の目標である6gを大幅に上回っています。
食事における減塩のポイント
1. 香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用する。
2. 低塩の調味料を使う。
3. 外食や加工品を控える。
4. 醤油やソースは料理にかけず、小皿にとって少量つける。
5. 麺類の汁は残す。
6. 食べすぎは塩分の摂取量の増加につながるため食べすぎないように気をつける。
つい濃い味付けになったり、加工食品をよく食べていたりすると気づかぬ間に塩分過剰になってしまっている可能性があります。身近な調味料やよく食べる食品について一度考え直してみましょう。
<参考資料>
・一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話
・臨床スポーツ医学第29巻第11号 高血圧の食事療法
・ 令和元年国民健康・栄養調査報告
(文/出野彩里)